下痢の予防と改善
ヨーグルトは下痢改善に効果的と言われます。その一方、ヨーグルトを食べると下痢になるという人もいます。
これはヨーグルトが下痢を改善する要素と下痢になる要素の両方を備えているためです。
つまり下痢改善に対するヨーグルトの知識が不足している場合は、下痢を治すつもりが逆に悪化してしまった。。。ということになりかねません。
このページでは下痢とヨーグルトに対する知識をまとめてあります。
下痢にお悩みの方は、是非、このページで下痢とヨーグルトに対する理解を深めて下さい。
下痢とは?
下痢のことを知らない人は殆どいないと思いますが、症状をきちんと把握することはヨーグルトを活用して下痢を改善する上でとても重要なことです。
下痢とは軟便という非常に柔らかい便がでる症状のことで、酷い場合は水溶便といったほぼ水分の便がでます。
下痢になると便が柔らかくなるだけでなく、腹痛、嘔吐、発熱といった症状が出ることもあります。また、栄養成分が十分に吸収できなくなることから体力や免疫力の低下につながります。
日本ではそれ程深刻でない下痢ですが、発展途上国では子供の死因の上位に位置する深刻な病気でもあります。
下痢の原因
下痢には大きく急性のものと慢性のものに分けられ、それぞれ原因があります。
急性の下痢
急性の下痢は主に次のような原因があります。
細菌・ウイルス
いわゆる食中毒と言われるものや病気の症状になります。代表的なものに腐敗物の摂取、O157やノロウイルス、毒キノコなどもこれにあてはまります。その他、赤痢やコレラなど死因になり得る深刻なものもあります。
消化不良
暴飲暴食、刺激物や甘味料、油モノの大量摂取、乳糖不耐症者による乳製品の摂取など消化器官の処理能力を超えた食物の摂取は、胃腸を弱らせ、消化を十分に行えないまま便を排出します。
慢性の下痢
慢性の下痢の原因には次のようなものがあります。
病気
割合としては多くありませんが潰瘍性大腸炎、糖尿病、大腸がんなどの影響により下痢になることがあります。
精神的要因
過敏性腸症候群などに代表されるように不安やストレスなど精神的な要因も下痢の原因となります。
腸機能の低下
加齢や生活習慣の乱れ、お腹を冷やすなどの要因により腸機能が低下して下痢の原因となります。
ヨーグルトが下痢を改善する仕組み
ヨーグルトが下痢を改善するのは乳酸菌による整腸作用によるものです。
前述した下痢の原因により、腸内では悪玉菌が増殖し、腸機能を弱めることで更に下痢を悪化させるという悪循環が起きます。
ヨーグルトに含まれる乳酸菌は腸内の善玉菌を増やすことで、悪玉菌を減らします。悪玉菌が減り善玉菌が増えると腸機能が向上し、正常な消化活動を行えるようになり下痢から回復します。
乳酸菌のパワーは強力で、ある程度の数になると腸内細菌の悪玉菌だけではなく病源菌となる細菌を排除することもあります。
ですので、ヨーグルトを沢山食べて乳酸菌を大量に増やせば下痢が早く治ると思われるかもしれませんが、残念ながらそうはうまくいきません。
ヨーグルトは食べるタイミングと食べ方を間違えると逆効果となり、下痢を悪化させる恐れがあるからです。
以下に下痢を改善させるヨーグルトの食べるタイミングと食べ方をご紹介します。
下痢改善のための「ヨーグルトを食べるタイミング」
大まかに下痢が急性のものか慢性のものかでヨーグルトを食べるタイミングが変わります。
急性の下痢の場合
急性の下痢の場合は、初期段階でヨーグルトを食べてはいけません。
ヨーグルトには乳糖、脂肪、甘味料といった腸を刺激する成分が含まれています。急性の下痢の初期段階では腸が著しく弱っている傾向があり、刺激物は下痢を悪化させる恐れがあります。
また、細菌やウイルスによる下痢の場合は、まずその細菌やウイルスを排出させる必要があるため下痢を無理に緩和させる必要はありません。水分不足になりがちなのでまずは水分を摂るようにしましょう。
急性の下痢の場合のヨーグルトを食べるタイミングは回復段階です。
腹痛が無くなり、ある程度症状が軽くなってきた回復段階ではヨーグルトは効果的に作用します。これは下痢によって減少してしまった善玉菌を増加させることで、腸機能の回復を早める効果があるからです。
慢性の下痢の場合
慢性の下痢の場合は初期段階からヨーグルトを食べても大丈夫です。
慢性的に下痢になる人は悪玉菌が優勢になりがちな状態になっていると言えます。常に善玉菌を増やすためにも日頃からヨーグルトを食べると良いでしょう。
また、病気などで抗生物質を服用する場合もヨーグルトは効果的です。抗生物質は病源菌と同時に善玉菌も排除してしまいます。善玉菌を補充する意味でもヨーグルトを食べるようにしましょう。
下痢改善のための「ヨーグルトの食べ方」
急性の下痢の回復時も慢性の下痢の場合も、ヨーグルトの食べ方には注意する必要があります。下痢の場合はヨーグルトを以下のように食べましょう。
冷蔵庫から出してすぐ食べない
ヨーグルトは冷えていた方が美味しいのですが、冷たい食べ物は腸を刺激し、下痢を悪化させます。また、ヨーグルトに含まれる乳酸菌は常温より少し温かいぐらいが一番元気になります。
ですので、下痢の場合はヨーグルトを冷たいまま食べず、少し置いて、さらに食べる時も口にしばらく含んでから食べると良いでしょう。
少量ずつこまめに食べる
乳酸菌はできるだけ多く摂取した方がいいのですが、前述した通りヨーグルトには刺激物が含まれています。
一度に大量に食べると刺激も強くなりますので、少量ずつこまめに食べるようにしましょう。
自分に合ったヨーグルトを食べる
乳酸菌にはいくつかの種類があり、人それぞれ相性があります。自分に合わない乳酸菌を含むヨーグルトを食べた場合、下痢改善の効果が得られないばかりでなく、酷い場合は下痢が悪化する可能性もあります。
日頃から色々なヨーグルトを試してみて、自分に合うと思える乳酸菌を見つけておき、下痢になった時はそのヨーグルトを食べるようにしましょう。
ヨーグルトを食べると下痢になる場合
ヨーグルトは下痢改善に効果的な食べ物ですが、ヨーグルトを食べると逆に下痢になるという人も多くいます。
そのような人は次のような原因が考えられます。
乳糖不耐症
牛乳には乳糖という成分が含まれており、この乳糖を分解できない体質の人が多くいます。そういった体質のことを乳糖不耐症と呼びます。
乳糖不耐症の人は乳糖が分解できず、一種の消化不良の状態となり下痢になることがあります。
ヨーグルトは発酵段階で大部分の乳糖が分解されるので牛乳ほど影響は無いのですが、それでも完全には無くなりません。そのため、ヨーグルトを食べて下痢になることがあります。
牛乳を飲んでお腹を壊す人は、牛乳由来のヨーグルトではなく豆乳ヨーグルトを食べましょう。豆乳ヨーグルトは乳糖が含まれていませんので下痢になることはありません。
甘味料や脂肪が原因
ヨーグルトによりますが、ヨーグルトに含まれている甘味料や脂肪分は腸を刺激したり、消化しにくかったりすることがあります。
そのため、体質に合わないまま量を食べたり、長期間食べたりすると腸が弱り下痢になることがあります。
このような場合は、まずはヨーグルトを食べるのを止めてみて症状が治まるか確認しましょう。症状が治まるようであれば、成分表示を見ながら色々なヨーグルトを試してみて自分に合わない成分を確認するようにしましょう。
乳酸菌が合っていない
前述しましたが、自分に合わない乳酸菌を含むヨーグルトを食べた場合に下痢になることもあるようです。
乳酸菌の性質上、稀なケースと思われますが可能性が無いわけではありませんので、そのような場合は、違う乳酸菌を含むヨーグルトを試してみましょう。
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