風邪予防
風邪予防にヨーグルトが効果的というのは潜在的に認識されているようです。某コンビニエンスストアのデータでは風邪が流行るとヨーグルトが売れるという実績があるため、箱入りティッシュや風邪用マスクが売れ始めるとヨーグルトの在庫を増やすという指示事例があると言われています。
しかしながら、風邪とヨーグルトの関係をしっかり理解している人は少ないのではないでしょうか。
そこでヨーグルトの風邪予防効果に関して調べたところ、確かにヨーグルトには風邪予防効果があるようです。
このページではその調べた内容をまとめていますので、是非ご覧ください。
風邪とは?
風邪予防効果を語る上で、まずはじめにハッキリさせる必要があることは「風邪とは何か?」もしくは「風邪の定義」です。
実は風邪には明確な定義がありません。病名ではないからです。
風邪とは一般的に「ウィルス感染による呼吸器系(のどや鼻)の炎症等の症状」のことを指します。
風邪を予防するには
風邪の予防方法には二つの方法があります。
一つは、ウィルスの侵入を防ぐことです。マスクをして、うがいや手洗いをマメにするということです。しかし、これでは完全に風邪を防ぐことはできません。
二つ目はウィルスに対する「耐性」です。
人は一度感染し、撃退したことのあるウィルスに対しては次から速やかにそのウィルスを撃退する獲得免疫というものを持っています。それを能力を利用したのが予防注射です。つまり、特定のウィルスに対する予防は可能です。
しかし、風邪を引き起こすウィルスは200種類以上あると言われ、風邪の予防注射を作ることは不可能です。
当然のごとく全てのウィルスを撃退する食べ物はおろか、薬さえ存在しないのです。抗生物質が近い働きをしますが、抗生物質は菌に対して有効でウィルスには効果がありません。つまり風邪には効果がありません。
余談ですが、風邪薬も基本的には風邪を治す薬ではなく、炎症や痛みを沈めたり、睡眠を誘発する作用しかありません。
では、なぜヨーグルトが風邪予防に効果的と言えるのでしょうか?
ヨーグルトが風邪を予防する理由
前述の通り、厳密には風邪を予防することは不可能です。しかし、それはそれで一つの疑問が浮かびます。
それは同じ環境にあっても風邪をひきやすい人とそうでない人がいることです。この両者の違いはなんでしょう?
風邪をひきにくい人というのは一種の風邪予防の作用が働いているとは考えられないでしょうか。このような観点には多くの研究者も着目して、様々な実験が行われてきました。
そして現在ではある程度の答えがでています。それは「免疫力」です。風邪をひきやすいか否かは「免疫力」の強さに大きく影響されています。
そしてヨーグルトの風邪予防効果も、その免疫力に起因しています。ヨーグルトには免疫力を高める効能があるのです。それがヨーグルトに風邪予防効果があると言われる由縁です。
具体的にヨーグルトがどのように風邪を予防するかは、多少ウィルスや免疫力の知識が必要ですので簡単に説明します。
ウィルスによる風邪発症の仕組み
まず免疫力には「自然免疫」と「獲得免疫」の二種類があります。自然免疫は体内に侵入してきた異物を片っ端から撃退しようとする免疫力です。撃退するのはマクロファージなどの免疫細胞です。
獲得免疫は侵入してきた異物の情報を分析し、それ専用の武器「抗体」というものを作り異物を撃退します。この分析された情報は生涯保存され、次回からは速やかに攻撃を開始します。これが前述した「耐性」のことです。
両者にはそれぞれ長所短所があります。自然免疫は即効性がありますが、明確に異物と判断できない限り攻撃できません。また、常に体中の至る所で戦っているので、異物が急増すると対処できなくなります。
獲得免疫は情報を分析する時間が必要で、攻撃開始までに時間がかかります。しかし、「抗体」の威力は強力で的確に異物を撃退します。殆どの場合、獲得免疫が発動すると異物は全滅します。
一方、ウィルスは異物の中でも手強い部類です。何故なら体内の細胞に入り込むからです。
ウィルスが体内に侵入し、個別の状態であれば自然免疫によって撃退されます。この状態であれば風邪は発症しません。
しかし、ウィルスの数が多くなって自然免疫が対処しきれなくなってくると、ウィルスは体内の細胞に入り込み増殖していきます。そうなると、自然免疫は異物と認識できなくなり、攻撃できなくなります。そうするとウィルスはどんどん増殖してき、体内の細胞をどんどん壊していきます。
ここで風邪が発症します。
その後、獲得免疫が発動し、抗体によってウィルスが顕在化し、獲得免疫に自然免疫も加わって免疫機能全体でウィルスを撃滅します。そうして風邪が治ります。
これが免疫力とウィルス、そして風邪の仕組みです。
ヨーグルトにおける免疫力強化と風邪予防効果の関係
では、具体的にヨーグルトはどのような部分で免疫力を高め風邪を予防するのでしょうか?
ヨーグルトが高める免疫力は主に「マクロファージ」と「NK細胞」などの自然免疫系です。
※その他にインターフェロンなども活性化しますが、ここでは簡易的に説明するため割愛します。詳細を知りたい方はこちら「ヨーグルトの効果・効能:免疫力を高める」をご覧ください。
前述した通り、自然免疫系はウィルスが侵入して来た時と抗体が出来た後に活躍する免疫細胞です。
自然免疫が強ければ、多くのウィルスが侵入時点で撃退されてしまうために風邪が発症しにくくなります。つまり、風邪を予防していることになるのです。これがヨーグルトにおける風邪予防効果の仕組みです。
また、自然免疫は抗体ができた後も活躍するので、ヨーグルトには風邪が治るのを早める効果があるとも言えます。
ヨーグルトが免疫力を高める仕組み
さて、ヨーグルトが免疫力を高めることで風邪予防効果をもたらすことは分かって頂けたかと思いますが、そもそも、どうやってヨーグルトは免疫力を高めているのでしょうか?
ヨーグルトが免疫力を高める仕組みは明確には分かっていません。しかし、いくつかの研究によるとヨーグルトの製造過程で乳酸菌が産出する多糖成分が関係していると推測されています。
多糖成分はヨーグルトの粘り気の元にもなっている成分で、キノコ類など免疫力を高めると言われる食材にはこの多糖が多く含まれています。ということは私的な推測ですが、カスピ海ヨーグルトのように粘り気のあるヨーグルトの方が免疫力を高める効果が高いのかもしれません。
いずれにせよ、多くの実験でヨーグルトに含まれる多糖成分がマクロファージやNK細胞などの免疫細胞を活性化することが確認されています。この多糖はEPS(菌体外多糖)とも言われ、多糖の中でもリン酸化多糖の効果が高いと言われています。
※ヨーグルトが免疫力を高める効果に関して詳しく知りたい方はこちら「ヨーグルトの効果・効能:免疫力を高める」をご覧ください。
風邪に効果的なヨーグルト
多くのヨーグルトが風邪予防に効果的と言えますが、研究により実際に免疫力の活性化が確認されているヨーグルトをいくつかご紹介します。
チチヤスクラシックヨーグルト
明治ブルガリアヨーグルト
小岩井 生乳100%ヨーグルト
ビヒダス プレーンヨーグルト
LGG生乳100%ヨーグルト
おいしいカスピ海 特選生乳100%
カゴメ植物性乳酸菌ラブレプレーン
小岩井 プラズマ乳酸菌ヨーグルト KW乳酸菌プラス
キリン まもるチカラのサプリ すっきりヨーグルトテイスト
ヨーグルトの風邪予防効果における注意点
ヨーグルトに風邪予防効果が期待できることは間違いなさそうですが、その作用はあくまで穏やかですので過剰な期待は禁物です。
また、日頃から免疫力を高めておくことが風邪予防に効果的ですので、風邪が流行り始めてから慌ててヨーグルトを食べるのではなく毎日ヨーグルトを食べる習慣をつけるとよいでしょう。
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