ヨーグルトには実に様々な効果や効能があります。ヨーグルトの効果の大きな特徴は「健康にプラス」の要素を与えることです。
健康に良いと言われる食品のことを調べていくと、その多くが健康に必要な成分の不足を補うこと(つまり、マイナスを補助するサプリメント効果)なのに対し、ヨーグルトはどちらかと言うと、自分の持っていない健康力を与えてくれる数少ない食品なのです。
これは、ヨーグルトの効果・効能の主な要因が他の食品のように栄養成分にあるのではなく、乳酸菌という生き物を摂り入れることによるものだからです。
尚、乳酸菌の全貌が解明されていない現状を考えると今後も新たな効能や効果が発見される可能性もあります。
このサイトではそのようなヨーグルトの持つ多くの効果・効能を<21>にまとめてご紹介致します。
尚、ヨーグルトは良い面ばかりでなく注意点もあります。効果や効能を期待する場合にはこちらも併せてお読みください。
ヨーグルトが健康に良い理由
ヨーグルトは健康に良い食べ物と言われますが、その理由はヨーグルトに含まれる<高い栄養価>と<乳酸菌>にあります。
ヨーグルトの主原料は牛乳か豆乳ですが、両方とも栄養価が元々高いことに加え、乳酸発酵することによって更にその栄養価や吸収率が高まります。
乳酸菌は私達の腸内細菌の状態を良好にします。腸内細菌は「栄養の吸収」と「免疫機能」という正に健康に直結する作用に大きな影響を持ちます。
ヨーグルトが持つ様々な効能や効果はこの<高い栄養価>と<乳酸菌>の上に成り立っていると言えます。
効果・効能を知る前に理解しておくべきこと
ヨーグルトの効果や効能を知る前に理解しておくべき事柄があります。このことを理解しておかないと期待した効果が得られない可能性があります。それは次のことです。
ヨーグルトは乳酸菌によって効果・効能が異なる
ヨーグルトの効果に大きな栄養を及ぼす乳酸菌には多くの種類があり、その種類によって効能が異なります。つまり特定の効果を求める場合は、それにあったヨーグルトを食べる必要があります。
以降でご紹介するヨーグルトの効果・効能に関しても全てのヨーグルトに期待できるわけではないことをご承知下さい。
牛乳ヨーグルトと豆乳ヨーグルトの違い
ヨーグルトの主原料は一般的に牛乳か豆乳ですが、この二つは含まれる成分が大きく違います。そして、その効能や効果も大きく異なりますので事前にその性質を知っておくことが必要です。
殆どの乳酸菌は腸に届く前に死んでしまう
通常、ヨーグルトに含まれる乳酸菌は製造過程もしくは私達の消化器官で殆どのものは死滅してしまいます。しかし、乳酸菌は死んでいても効果があることが分かっています。
とは言え、生きた乳酸菌の方が効果性が期待できるので、より効果を期待する場合は「生きて腸まで届く乳酸菌(プロバイオティクス)」を含むヨーグルトを選びましょう。
ヨーグルトの効果を期待するならある程度の量が必要
腸内細菌における善玉菌と悪玉菌の優劣は殆どの場合、その「数」で決まります。つまり乳酸菌は一定量の数がなければ効果が期待できません。
そして、乳酸菌の数を増やすためには一定量以上のヨーグルトを一定期間以上継続して食べる必要があります。
一般的にヨーグルトの効果を得るためには一日あたり200~500gほどのヨーグルトを最低2週間~1ヶ月間食べる必要があると言われています。
ヨーグルトの効果や効能は持続しない
ヨーグルトに含まれる乳酸菌は体内に定着することは殆ど無く、長くても二週間程度で便と一緒に排出されてしまいます。
そして、乳酸菌による働きは体内に存在する間は効果を発揮しますが、排出されるとその効果もなくなります。つまり、効果を持続させるためには継続してヨーグルトを食べる必要があるのです。
ヨーグルトに期待できる21の効果・効能
ヨーグルトには間接的なものまで含めると実に多くの効能や効果がありますが、その中から主なものを21に絞ってご紹介致します。
- 腸内環境の改善(整腸作用)
- 便秘解消・便秘予防
- 免疫力を高める
- ビタミン不足解消
- 風邪予防
- インフルエンザ予防
- アレルギー症状の予防・改善
- 花粉症、アレルギー性鼻炎の予防・改善
- アトピー性皮膚炎の予防・改善
- 肝臓病予防、肝機能改善
- 肌荒れ、ニキビの予防・改善
- 美肌促進
- 食中毒の予防
- 胃潰瘍、十二指腸潰瘍、胃癌(がん)予防効果
- 骨・歯の強化、骨粗しょう症予防
- 虫歯・歯周病予防
- 血中コレステロール値を下げる
- 痛風の予防・改善
- 精神的ストレスの緩和・解消
- 下痢の予防と改善
- 癌(がん)予防
腸内環境の改善(整腸作用)
「腸内環境の改善」はヨーグルトのもっとも代表的な効能です。
腸内環境とは腸の働きの中心的な役割を担っている「腸内細菌の状態」のことを指します。腸内細菌には「善玉菌」「悪玉菌」「日和見菌」の三種類があり、善玉菌が多ければ腸内環境は良好と言われ、腸の働きも正常に行われます。一方、悪玉菌が多いと有害物質が産出され、腸機能は低下し、腸内環境が乱れていると言われます。
悪玉菌が増える理由は、食習慣、ストレス、病気など様々ですが、乱れた腸内環境を改善するには善玉菌を増やすしかありません。その方法は二つあり、体内にいる善玉菌を増殖させる方法と外部から善玉菌を摂り入れる方法です。
この二つの方法を効果的かつ手軽に行えるのがヨーグルトです。ヨーグルトに含まれる乳酸菌は生きて腸に届けばそのまま善玉菌として作用し、死んでしまっても善玉菌のエサとして善玉菌の増殖を促進します。
腸は食べたモノを消化し、栄養を吸収、そして有害物質を排除するという健康に直結する非常に重要な働きをしています。そのため、腸内環境は体の様々な症状に影響を及ぼします。
つまり、腸内環境を改善するということは、そういった様々な症状を改善するということです。それがヨーグルトの基本的な効果・効能であり、これ以降で紹介するものも、この腸内環境の改善の間接効果と言えるのです。
便秘解消・便秘予防
便秘解消に効果的な食品として必ず登場するのがヨーグルトですが、これは前段でご紹介した「腸内環境の改善」における二次効果としてもっともよく知られているものです。
便秘の原因の一つに食べ物を消化しながら直腸まで送り出す「蠕動運動(ぜんどううんどう)」という腸機能の低下があります。蠕動運動が低下する大きな理由に悪玉菌の存在があります。ヨーグルトはこの悪玉菌を減らし、蠕動運動を正常化させることで便の排泄を促進させます。
また、ヨーグルトに含まれる乳酸菌は腸内の善玉菌を増やします。善玉菌は消化活動の一翼も担っているため消化を促進するという効果もあります。
つまりヨーグルトの便秘解消に対する効果とは、「消化及び排泄を促進する」ところにあります。
より効果的に便秘を解消するにはヨーグルトだけでなく、水分や食物繊維の摂取、適度な運動、睡眠時間の確保などを意識的に心がけると良いです。
免疫力を高める
あまり知られていませんが「免疫力を高める」効果は「腸内環境の改善」と並ぶヨーグルトが持つ大きな効果と言えます。
人間の免疫を左右する免疫細胞の60%は腸に集中しています。つまり腸の状態が免疫力に大きな影響を及ぼすのです。腸の状態が悪ければ免疫力が低下し、良ければ免疫力が高まります。そして、その腸の状態を良くする働きがあるのがヨーグルトです。つまり、ヨーグルトは腸の状態を良くすることで免疫力を高めます。
また、ヨーグルトに含まれる乳酸菌および乳酸菌が発酵する際に産生する物質には免疫細胞を活性化させる働きがあり、それによっても免疫力が高まることが分かってきています。
さらに、ヨーグルトはビタミン・ミネラル・タンパク質といった体力を高める栄養成分を補給できることも免疫力強化に繋がっています。
このようにヨーグルトは免疫力と密接な関係にあります。後述しますがヨーグルトの効果であるアレルギーや花粉症の改善効果やインフルエンザ、風邪予防効果、そして癌(がん)予防効果などはこの免疫力強化の二次効果と言えます。
ビタミン不足解消
ヨーグルトにはカルシウムやタンパク質など人間が生きていく上で重要な栄養成分が多く含まれていますが、とりわけビタミン類を効率的に摂るのには最適な食べ物と言えます。特に不足しやすいと言われるビタミンB群の摂取には非常に効果的です。
ヨーグルトにはビタミンA、ビタミンB1、ビタミンB2が豊富に含まれている他、パントテン酸、ビオチン、葉酸、コリン、ビタミンB6、ビタミンB12といったビタミンB群がバランスよく含まれています。
この内、ビタミンB6とビタミンB12はヨーグルトの製造過程で失われる可能性がありますが、それでも同様の働きをする葉酸が豊富に含まれているので問題ありません。また、ビタミンAはヨーグルトの脂肪分の中に溶け込んで吸収されやすい形になっています。
また、ビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンB6、ビタミンB12、パントテン酸、葉酸、ナイアシン、ビオチン、ビタミンE、ビタミンKなどのビタミン類は腸内細菌によって産出されますが、ヨーグルトは腸内細菌の状態を良好にすることによってこのビタミン類の産出を促進する効能もあります。
このようにヨーグルトは非常に優秀なビタミン剤と言えますが、ビタミンの中で重要とされるビタミンCは殆ど含まれていませんので別の食品から摂取する必要があります。
風邪予防
前述したようにヨーグルトには免疫力を強化する作用があり、さらに栄養補給により体力を高めるため、風邪の予防に効果的です。
ヨーグルトには風邪の元となるウィルスや病源菌の侵入を防いだり、侵入してしまった病源菌やウィルスの増殖を防ぐ効果が確認されています。
ストレプトコッカスサーモフィラス(ST9618株)という乳酸菌を含むチチヤスのヨーグルトでは風邪の予防だけでなく風邪の症状緩和効果も確認されているようです。
インフルエンザ予防
インフルエンザが流行した時期に「R-1」というヨーグルトが売れ切れ続出したことがありました。これは「R-1」がインフルエンザ予防に効果的と話題になったためです。
インフルエンザ予防効果はヨーグルトの持つ「免疫力強化」作用による特徴的な効果の一つでしょう。
ヨーグルトのインフルエンザ予防効果の仕組みはまだ研究段階と言えますが、いくつかの研究報告では、ヨーグルトに含まれるある種の乳酸菌が産生する多糖(EPS)が肺胞中の抗インフルエンザ抗体を上昇させたり、脾臓中のNK細胞を活性化させることが確認されています。
また、一部のヨーグルトにはインフルエンザの予防注射の効果を高めることも確認されています。
尚、インフルエンザの予防効果があるヨーグルトは「R-1」以外にもビヒダスヨーグルト、ラブレ、プラズマ乳酸菌ヨーグルトなど多くの種類があります。
アレルギー症状の予防・改善
アレルギーは免疫システムの異常ですので、免疫力を強化する効能があるヨーグルトがアレルギー症状を改善するのは理にかなっていると言えます。
以前は漠然と「ヨーグルトは免疫を高めるためアレルギー症状の改善に効果があると思われる」という感でしたが、最近の研究で、具体的なヨーグルトの効果が明らかになってきています。
ヨーグルトがアレルギー症状を予防したり改善する仕組みは「免疫調整力」にあるとされています。免疫力は強すぎても弱すぎてもいけません。免疫反応が過剰になるとアレルギーが発症するとされています。
ヨーグルトには過剰な免疫反応を調整する「免疫調整作用」があることが確認されており、それがヨーグルトがアレルギー症状を予防したり改善する主要因となっているという考えが一般的になっています。
勿論、免疫システムは複雑なのでヨーグルトを食べればアレルギー症状が改善すると簡単に言えるものではありませんが、実際に多くの研究結果でヨーグルトによるアレルギー症状の改善効果が確認されています。
花粉症の予防・改善
アレルギー症状の改善効果を持つヨーグルトは当然花粉症やアレルギー性鼻炎にも効果的と言えます。
花粉症はアレルギー症状のもっとも代表的なものと言えますので、ヨーグルトの効果性を検証する研究も多く行われています。そして、多くの臨床試験でヨーグルトに花粉症の改善効果があることが確認されています。
花粉症に効果があると言われる食品には甜茶や紫蘇など多くのものがありますが、ヨーグルトの効果性は他のものとは一線を画するものと考えられています。
特に花粉症の治療薬の効果を高めるという臨床結果もあり、重度の花粉症患者には花粉症の薬と共にヨーグルトの摂取を勧められることもあります。
花粉症に効果があるとされる代表的なヨーグルトにはLGG乳酸菌を含む「おなかへGG!」やビフィズス菌BB536を含む「ビヒダスヨーグルト」、L-55乳酸菌を含む「たっぷり生乳ヨーグルト」などがあります。
アトピー性皮膚炎の予防・改善
アトピー性皮膚炎もアレルギー症状の一種ですので、ヨーグルトにも改善効果が期待できます。
ヨーグルトのアトピー性皮膚炎改善効果が知られるようになったのは2001年にイギリスの医学雑誌にLGG乳酸菌による予防効果が発表されてからです。
ヨーグルトのアトピー性皮膚炎予防・改善効果の仕組みはアレルギー全般におけるヨーグルトの効能と同様と考えられていますが、ヨーグルトには肌への栄養補給や保湿促進効果もあるので、そういった面もアトピー性皮膚炎の改善に寄与していると思われます。
LGG乳酸菌は世界各地のヨーグルトに含まれている有名な乳酸菌ですが、日本ではタカナシ乳業の「おなかにGG!」などに含まれています。それ以外にもKW乳酸菌を含む「小岩井 プラズマ乳酸菌ヨーグルト KW乳酸菌プラス」やビフィズス菌LKM512を含む「おなかにおいしいヨーグルト」、クレモリス菌を含む「カスピ海ヨーグルト」などもアトピー性皮膚炎に効果的と言われます。
尚、ヨーグルトを食べてアトピー性皮膚炎が悪化したという研究報告もあります。腸内細菌は人によって向き不向きがありますので注意しましょう。
肝機能改善、肝臓病予防
あまり知られていませんがヨーグルトは肝臓に良い食べ物と言えます。肝臓の負担は腸内環境に大きく左右されます。
腸内環境が良好であれば、口から有害物質が入ってきても腸に来た時点で多くのものは排除されます。しかし、腸内環境が乱れていると有害物質を排除する能力が低下するために、有害物質は肝臓に送られ肝臓の解毒作用で処理することになります。
肝臓は代謝や必要物質の合成、消化、解毒など非常に多くの働きを担っています。ただでさえ、負担の多い肝臓に解毒作用の負荷が高まると、肝機能は低下し、酷い場合は肝臓病を引き起こすこともあります。
腸内環境の乱れは有害物質を排除する能力を低下させるだけでなく、悪玉菌が増えることによって有害物質そのものを産出することとなり、更に肝臓に負担をかけます。
ヨーグルトは腸内環境を改善することによって、有害物質を排除する機能を高め、更に腸内における有害物質の産出を抑制することで肝臓の負担を軽くします。
これによって肝臓は他の働きに力を割くことができ、結果的に肝機能が改善、また肝臓病を予防することとなります。
また、ヨーグルトに含まれるビタミンやタンパク質は肝臓に必要な栄養成分ですので、そういった意味でも肝機能を改善したり、肝臓病を予防する効果があると言えます。
肌荒れ、ニキビの予防・改善
ヨーグルトの効果・効能には美容に関するものがいくつかあります。その内の一つが肌荒れやニキビの予防・改善効果です。これは先にご紹介した免疫力や肝機能に関する効果と関連があります。
肌は外部にさらされているので常に有害物質と戦っています。その防御の要となるのが免疫機能です。つまり、免疫力が低下すると肌は有害物質に負けて炎症を起こします。大雑把に言うとそれが肌荒れであり、ニキビなのです。
更に肝機能が低下すると肝臓の解毒作用が弱まり、血液を通して体中に有害物質が流れていきます。そうなると肌は外部と内部から有害物質の攻撃を受け、処理しきれなくなり、肌荒れやニキビができやすくなります。
ヨーグルトには先にご紹介したとおり免疫力を強化し、更に肝機能を改善する効果があるため、肌荒れやニキビの予防・改善にも効果が期待できます。
また、肌荒れやニキビの大きな要因にビタミンB2不足があります。ヨーグルトにはビタミンB2が多く含まれています。ビタミンB2だけでなくビタミンB群は美容ビタミンと言われますが、ヨーグルトにはビタミンB群がバランス良く豊富に含まれていることも肌荒れ、ニキビの予防・改善に効果的と言えるのです。
美肌促進
ヨーグルトは美肌に効果的と言われますが、それにはちゃんとした理由があります。
まずは前段でご紹介した肌荒れやニキビを予防、改善する効果が理由にあげられます。しかしヨーグルトの美肌効果はそれだけではありません。
ヨーグルトが美肌に効果的と言えるのはビタミン、ミネラル、そしてタンパク質といった美しい肌を作るのに必要な栄養成分がバランスよく含まれているためです。
特に、美肌ビタミンと言われるビタミンB2をはじめとするビタミンB群が豊富に含まれています。
さらにそれらの栄養成分は乳酸菌が産出する乳酸によって吸収されやすくなっています。また、ヨーグルトの腸内環境を改善する効果や便秘改善効果は、美肌を阻害する有害物質の産出や栄養成分の破壊を抑制することとなり、間接的に美肌に効果があると言えます。
食中毒の予防
ヨーグルトには感染症の原因となるウィルスや病源菌を抑制する働きが確認されており、中でも知られているのが食中毒の予防効果です。
食中毒は主にノロウィルスや黄色ブドウ球菌、病原性大腸菌などのウィルスや細菌が原因となって発症する病気です。
これら食中毒の原因となるウィルスや病源菌などの増殖を抑制するヨーグルトの効果は多くの研究報告により発表されており、その働きの仕組みは大きく二つあります。
一つ目は胃や腸の上皮細胞にウィルスや病源菌が付着することを阻害し、体内への侵入を防ぐことで食中毒を抑制することで、二つ目は免疫機能を活性化することで体内に侵入したウィルスや病源菌を撃退することです。
尚、一つ目の働きは多くのヨーグルトにありますが、二つ目のものはビフィズス菌BB536やビフィズス菌SP株、プラズマ乳酸菌などを含む特定のヨーグルトで確認されている働きです。
ヨーグルトは主に食中毒の「予防」に効果が期待できますが、効果性は落ちるものの「改善」も期待できます。ただし、果糖されたヨーグルトは食中毒に伴う下痢症状を悪化させる可能性があるのでプレーンを食べるようにしましょう。また、乳糖不耐症の方は下痢が悪化するのでヨーグルトを食べるのは避けましょう。
胃潰瘍、十二指腸潰瘍、胃癌(がん)予防・改善効果
胃潰瘍や十二指腸の主な原因はピロリ菌(Helicobactor pylori)という細菌にあります。そしてこのピロリ菌の攻撃が続くと胃癌(がん)の危険性が高まると言われます。
ヨーグルトにはこのピロリ菌の働きを抑制する働きがあるため、胃潰瘍、十二指腸の予防効果があるとされます。
ピロリ菌を抑制するのは主にラクトバシラス属の乳酸菌を含むヨーグルトで、商品として有名なのは明治のLG21です。
LG21を使ったピロリ菌抑制の研究は様々なところで行われており、有効性を示す研究報告が多くありますが、その仕組は完全には解明されていません。
有効な説としては、ヨーグルトに含まれる乳酸菌の出す乳酸によってピロリ菌が抑制されるというものと、ピロリ菌が分泌する酸の中和物質を阻害することで結果的にピロリ菌が死滅、もしくは活動が弱まるというものです。
ピロリ菌を本格的に除去したい場合はピロリ菌除菌治療というものがありますが、治療中にこのヨーグルトを食べると除菌成功率が高まることが分かっています。
また、ヨーグルトは粘膜を強化するビタミンAやタンパク質が含まれていることも胃潰瘍・十二指腸潰瘍・胃癌(がん)を予防する効果があると言えます。
胃潰瘍、十二指腸潰瘍、胃癌(がん)予防・改善効果をもっと詳しく見る⇒
骨・歯の強化、骨粗しょう症予防
ヨーグルトには骨や歯を強くし、骨粗しょう症の予防効果があることが知られています。
骨や歯を強くする食品で有名なのは牛乳です。牛乳には骨や歯に必要なカルシウムが100g中100mg強というように豊富に含まれています。また、吸収率も高く、同様にカルシウムを多く含む小魚の吸収率が30%強なのに対し、牛乳は40%あると言わます。さらに、骨や歯の形成に必要なリンがカルシウムに対して1対1という理想的な割合で含まれています。
ヨーグルトにはこの牛乳のカルシウム量や吸収率、そしてリンなどが同様に含まれているので骨や歯を強くし、骨粗しょう症予防に効果的というのは当然と言えば当然です。
それに加え、ヨーグルトの場合は乳酸菌が産出する乳酸とカルシウムが結合して、乳酸カルシウムという更に体内に吸収されやすい形にカルシウムが変質するので、牛乳より効果的と言えます。
特に骨粗しょう症は高齢の方に多い病気ですが、高齢になると乳糖不耐症気味になり、牛乳をあまり飲めないという人も多くいます。そういった意味でも乳糖がある程度分解されているヨーグルトは骨粗しょう症予防に効果的と言えます。
尚、カルシウムが多いのは牛乳由来のヨーグルトで、豆乳ヨーグルトには殆どカルシウムが含まれていませんので注意しましょう。
虫歯・歯周病予防
ヨーグルトは歯を強くするだけでなく虫歯や歯周病の予防にも効果的と言われます。特に歯周病への効果を認めている歯科医も多く、過去には「ヨーグルト歯磨き」といったものが提唱されたこともありました。
口の中には腸内環境と同様に多くの細菌がおり、善玉菌も悪玉菌も存在します。そして、虫歯も歯周病も基本的な原因は悪玉菌によるものです。
虫歯の場合はミュータンス菌、歯周病の場合はジンジバリス菌といった口内の悪玉菌が原因となっています。
これらの悪玉菌は酸に弱いため、ヨーグルトに含まれる乳酸菌が産出する乳酸によって抑制される上、特定の乳酸菌においては排除が可能であることが確認されています。
虫歯や歯周病に効果的な乳酸菌で有名なのはロイテリ菌とLS1というものです。しかし、サプリメント等はあるもののこれらの乳酸菌を含むヨーグルトは現在、販売されていません。
ヨーグルトとしては、ラクトバチルス・ラムノーザスKO3株を使った「8020ヨーグルト(四国乳業)」が唯一虫歯や歯周病に効果的なヨーグルトと言えます。
ヨーグルトは吸収されやすいカルシウムを豊富に含むことも歯の健康に効果的と言えます。
血中コレステロール値を下げる
乳製品は脂質が多いイメージがあるので意外と思うかもしれませんが、ヨーグルトにおいて血液中のコレステロール値を下げる効果は多くの研究で確認されています。
もともと牛乳にも若干ではありますが、コレステロール値を下げる効果があります。牛乳に含まれるコリンという成分が肝臓の中で作用してコレステロール濃度を調整するためです。
ヨーグルトは牛乳よりもコレステロール値を下げる効果が高いので、コリン以外の成分が作用していると考えられています。それはやはり乳酸菌です。
しかし、乳酸菌がどのようなメカニズムでコレステロールを下げているのかは明確にはなっていません。色々な研究報告を見ると次の2つがヨーグルトのコレステロール値を下げる要因になっていると考えられます。
「乳酸菌が腸内でコレステロールに吸着し、そのまま便として排出する」「乳酸菌が間接的に胆汁酸の分泌を増やし、それによってコレステロールの消費を促進する」
これらは死菌より生菌の方が作用が強い傾向があることから、プロバイオティクス(いわゆる「生きて腸まで届く乳酸菌」)のヨーグルトの方がコレステロール値を下げる効果が高いと考えられます。
ただし、牛乳を原料としたヨーグルトに含まれる脂質は決して少なくはないので、コレステロール値を下げることを目的としてヨーグルトを沢山食べるというのはリスクがあります。
もしコレステロール値を下げたい場合は、「豆乳ヨーグルト」がお薦めです。
豆乳ヨーグルトは脂質が殆ど含まれていない上、コレステロール値を下げる効果がある大豆たんぱく質が豊富に含まれています。これに乳酸菌のコレステロール低下作用が加わりますので、コレステロール値を手軽に下げるには最適な食品と言えます。
実際にトーラクの「豆乳で作ったヨーグルト」はコレステロールを下げる効果が実証され、消費者庁に特定保健用食品(トクホ)として認められています。
痛風の予防・改善
痛風は成人病の一つで、近年発症数が増加している病気でもあります。痛風の原因はプリン体と言われています。その為、プリン体ゼロ食品も増えてきています。
そのような中、ヨーグルトにプリン体の吸収を抑制する効果があることが発見されています。まだ研究の歴史も浅いですが、いくつかの臨床実験からその効果を裏付ける結果が出ており、信ぴょう性は高いと考えられています。
研究や論文の報告によると、仕組みとしてはヨーグルトに含まれる乳酸菌が腸内でプリン体を分解して他の物質に変換したり、乳酸菌自身がプリン体を取り込んで消費したり、取り込んだまま便として排出されることで、体内へのプリン体吸収を抑制しているとのことです。
現在のところこの効果が確認されているのはLactobacillus Gasseri菌(ラクトバチルス・ガセリ菌)といった乳酸菌に限られており、ヨーグルト製品としては現在のところ、明治が開発したLactobacillus gasseri PA-3株の乳酸菌を含んだ「明治プロビオヨーグルトPA-3」だけです。
精神的ストレスの緩和・解消
ヨーグルトは便秘に効果があるのはよく知られていますが、その中でも一過性単純便秘やけいれん性便秘といったストレス性の便秘に効果があると言われることがあります。
これはストレスによって増えた腸内の悪玉菌がヨーグルトの乳酸菌によって撃退されることが主な要因ですが、それだけではなくヨーグルトにはストレス自体を緩和する効果があることが分かってきています。事実、ヨーグルトを毎日食べているとストレスが減ったと感じる人も多くいいます。
ヨーグルトがストレスを緩和・解消する仕組みはまだ研究段階と言えますが、いくつかの研究ではヨーグルトに含まれる乳酸菌(プロバイオティクス)に抑制系の神経伝達物質であるGABA(γ-アミノ酪酸)を増やす作用があることが確認されており、このことがストレスの軽減に大きく影響を及ぼしていると推測されています。
その他にも、ヨーグルトには精神安定を促すカルシウムやビタミンB1を豊富に含んでいたり、免疫機能を強化する作用など総合的な効能が精神的ストレスの緩和・解消に役立っていると考えられます。
下痢の予防と改善
ヨーグルトは整腸作用があるので下痢にも効果が期待できます。ただし、ヨーグルトには下痢を悪化させる要素もあるので注意が必要です。
ヨーグルトの効果が期待できるのはストレスなどによる慢性的な下痢に対してです。これらの下痢は主に腸内環境の乱れが直接的な原因になっていることが多く、ヨーグルトに予防や改善が期待できます。その際も少し温めたり、少量ずつ食べるなど食べ方にも注意が必要です。
一方、ウィルスや消化不良による急性の下痢における初期段階ではヨーグルトを食べてはいけません。ヨーグルトに含まれる甘味料や脂質は下痢を促進する要因となります。
また、乳糖を分解できない乳糖不耐症の人は状態に関わらずヨーグルトが下痢の原因となります。
癌(がん)予防
ヨーグルトには癌(がん)を予防する要素が多く含まれています。その筆頭は免疫力の強化です。とりわけヨーグルトには癌(がん)細胞を攻撃するNK細胞を活性化する効果があるとされます。
また、腸内において発がん性物質を排出する悪玉菌の抑制、発がん性物質を吸着して体外に排出させるなど癌(がん)の発生リスクを軽減します。
その他にも、癌(がん)を促進する酵素を抑制したり、逆に癌(がん)を抑制する酵素を活性化させる効果も発見されてきています。
ヨーグルトは免疫力を高めるという意味で全てのがん予防に効果的と言えますが、とりわけ期待できるのは大腸がんです。ピロリ菌の排除、胃粘膜の保護という面では胃がん予防に効果が期待できます。また、解毒作用や肝臓の負担を軽減する作用もあることから肝臓がん予防にも効果があると言われています。更に乳がんの要因の一つであるコレステロールを減らすことから乳がん予防にも注目されるなど、ヨーグルトは幅広い癌(がん)の予防に期待が持たれています。