胃潰瘍、十二指腸潰瘍、胃癌(いがん)予防・改善

ヨーグルトは近年、胃潰瘍、十二指腸潰瘍、胃癌(がん)を予防もしくは改善する効果が注目されています。

胃潰瘍、十二指腸潰瘍、胃癌に共通するのはピロリ菌という細菌です。一部のヨーグルトにはこのピロリ菌の活動を抑制する効能があることが確認されています。

”一部の”ヨーグルトというのは、全てのヨーグルトでこの効果が確認されているわけではなく、また、ピロリ菌の活動を抑制するヨーグルトであっても胃潰瘍、十二指腸潰瘍、胃癌の予防効果を発揮できないものもあるためです。

それではどのようなヨーグルトが効果的なのでしょうか?

ここでは研究論文などを調べ、胃潰瘍、十二指腸潰瘍、胃癌予防に効果的なヨーグルトとその仕組みなどをご説明します。ご興味があればご覧ください。

胃潰瘍、十二指腸潰瘍、胃癌の原因

ヨーグルトの効果を理解するには胃潰瘍や十二指腸潰瘍、胃癌の原因を知っておく必要があります。

胃潰瘍・十二指腸潰瘍・胃癌(がん)とは?

胃には胃酸という食べた物を消化する強力な分泌液があります。この胃酸は胃とつながっている十二指腸にも流れます。

胃酸は強い酸性であるため通常であれば胃や十二指腸そのものを溶かしてしまうのですが、そうならないのは胃や十二指腸の表面(胃壁・十二指腸壁)に「粘膜」があるからです。

しかし、何らかの原因でこの「粘膜」が弱まり、胃酸によって胃壁や十二指腸壁が損傷するのが胃潰瘍であり、十二指腸潰瘍です。

そして胃潰瘍が過度に慢性的になると胃壁の細胞が損壊し、胃癌の原因となります。

胃潰瘍・十二指腸潰瘍・胃癌(がん)の原因はピロリ菌

胃や十二指腸の粘膜が弱まることが胃潰瘍や十二指腸潰瘍の直接の原因ですが、粘膜が弱まる要因こそが根本的な原因と言えます。

粘膜が弱まる要因にはストレスや生活習慣の乱れ、暴飲暴食などがありますが、主な要因はピロリ菌という細菌によるものというのが現在のおける大勢の見解です。

実に、胃潰瘍の八割、十二指腸潰瘍の九割以上はピロリ菌が原因ということが分かっています。また、ピロリ菌による胃癌(がん)の発症リスクは5~10倍になると言われています。

ピロリ菌は非常に多くの人が感染している

ピロリ菌は感染することで体内に侵入し、胃や十二指腸に到達します。胃は強力な酸(胃酸)があるため通常であれば細菌は生きていけませんが、ピロリ菌は特有の酵素を産出し、胃酸を中和することで胃内に定着します。一度感染すると何もしない限り殆どの場合、ピロリ菌はその人が死ぬまで体内に存在し続けます。

ピロリ菌の感染は特別のものではなく、昔は殆どの人がピロリ菌に感染していたと言われています。現在では世界の約半分が感染していると言われ、日本では若年層の感染率は低いものの40歳以上の感染率は七割を越えていると言われます。

ピロリ菌が胃や十二指腸を傷つける仕組み

ピロリ菌は様々な酵素を分泌しますが、その多くが人間にとって毒素となり胃や十二指腸を傷つける原因となります。

ピロリ菌は粘膜の中にある胃酸から身を守る為に胃酸を中和する酵素を分泌していますが、これは同時に粘膜を破壊することになります。そうなると粘膜の保護が無くなった部分に胃酸が入り込み胃や十二指腸の上皮細胞が損傷します。

また、ピロリ菌の分泌するムチナーゼやプロテアーゼなどの酵素は直接的に胃や十二指腸の上皮細胞を攻撃し、傷つけます。

こうした損傷が進行することで胃潰瘍や十二指腸潰瘍になっていきます。また、こういった損傷に対して体はそれを修復しようとしますが、ピロリ菌が存在する限り攻撃が続くことになります。

つまり胃や十二指腸内では「損傷」と「修復」が繰り返されており、それが慢性的になると細胞組織に異常が発生し、胃癌になると考えられています。

ヨーグルトが胃潰瘍、十二指腸潰瘍、胃癌を予防・改善する仕組み

ヨーグルトが胃潰瘍や十二指腸潰瘍などを予防する仕組みはヨーグルトに含まれる乳酸菌にあります。

ヨーグルトに含まれる乳酸菌は多くの健康的な効能を持ちますが、その一つに体内に存在する悪性の細菌(悪玉菌)を排除する働きがあります。

基本的な乳酸菌による悪玉菌排除の仕組みは「産出する乳酸による殺菌効果」と「強力な増殖力によって悪玉菌の生存領域を消滅させること」です。

これはピロリ菌に対しても当てはまります。ヨーグルトに含まれる乳酸菌は胃や十二指腸で増殖することでピロリ菌を抑制し、胃潰瘍や十二指腸潰瘍を予防・改善するのです。

ある研究では乳酸菌は上記2つの方法だけでは説明がつかない現象が確認されたことから、乳酸菌が産出する別の菌体成分もピロリ菌を抑制している可能性があるとの報告があります。

このことはまだ推測の段階ですが、ピロリ菌への効果が一部の乳酸菌のみによるものと考えると特定の乳酸菌特有の性質が関係している可能性は高いと考えられます。

ピロリ菌の活動を抑制するヨーグルト

前述の通り、ピロリ菌の活動を抑制するのは全ての乳酸菌ではなく「一部の乳酸菌」です。その「一部の乳酸菌」を含むヨーグルトでなければ胃潰瘍や十二指腸潰瘍を予防・改善できないのです。

ピロリ菌の活動を抑制する乳酸菌はマウスや試験官内の実験から主にラクトバチルス属の乳酸菌ということが分かっています。

しかし、ラクトバチルス属の乳酸菌であっても体内のピロリ菌を攻撃するには胃酸への耐性が無くてはなりません。

つまり、ラクトバチルス属で胃酸への耐性のあるものがピロリ菌を抑制することのできる乳酸菌なのです。

そして、その乳酸菌を含むヨーグルトこそ胃潰瘍や十二指腸潰瘍を予防・改善する効果が期待できるヨーグルトなのです。

具体的には次のようなヨーグルトです。

明治プロビオヨーグルトLG21

株式会社明治のプロビオヨーグルシリーズトはインフルエンザに効果的な「R-1」、プリン体抑制に効果的な「PA-1」など特定の効果性を重視したラインナップで知られますが、ピロリ菌抑制を目的に開発されたのが「LG21」です。

ピロリ菌抑制効果のあるラクトバチルス属の中から胃酸に強い乳酸菌を探しだし開発したのが「ラクトバチルス・ガゼリ・OLL2716株(Lactobacillus Gasseri OLL2716)です。

このOLL2716株乳酸菌を含む「LG21」はヒトの実験においてピロリ菌活動抑制の高い効果が確認されており、また実際にその効果を感じている人も多く、評判の良いヨーグルトと言えます。

ピロリ菌を抑制する効果を報告しているヨーグルト類はいくつかありますが、明確に胃酸に強いことが証明されているヨーグルトは「LG21」しかないようです

現在のところ胃潰瘍や十二指腸潰瘍を予防・改善するのに一番のオススメはこの「LG21」になります。

SN13T 植物乳酸菌ドリンクヨーグルト

高原安瀬平乳業有限会社から販売されている「SN13T 植物乳酸菌ドリンクヨーグルト」は広島大学杉山プロジェクトが開発した「SN13T」という植物由来の乳酸菌が使われたヨーグルトです。

植物由来の乳酸菌は胃酸に負けない生存力を持っているとされますが、「OLL2716株」のように胃に滞在してピロリ菌を攻撃するのは少し無理があるようです。

事実、SN13Tの特許情報を見るとその方法は諦めていて、別の仕組みでピロリ菌抑制を実現しています。

その仕組みとはSN13T乳酸菌が産生する物質を利用してピロリ菌を抑制することです。

SN13T乳酸菌はピロリ菌の育成を阻害する作用があるカテコール、チロソールといった物質を産生します。その物質の抽出物をヨーグルトに含めることでピロリ菌を抑制するという仕組みなのです。

つまり、ピロリ菌を抑制するのは乳酸菌ではなく、乳酸菌が産生する物質ということになります。

この仕組みは理論的に整合性がとれていますし、特許も取得していますので信頼は高いと思いますが、実験報告などは見つけることができなかったため実際の効果性は不明です。

●ヨーグルトではないがピロリ菌を抑制する乳酸菌製品

ヤクルト BF-1

ヤクルトBF-1

「ヤクルト BF-1」はヨーグルトではなく乳酸菌飲料という位置づけですが、ピロリ菌抑制効果が高いことで知られています。

BF-1に含まれている乳酸菌は「B.ビフィダム.Y株(ビフィドバクテリウム・ビフィダム・ヤクルト株)」というビフィズス菌です。このB.ビフィダム.Y株は胃酸に強いというだけでなく、胃粘膜の粘性物質であるムチンへの吸着性が強いということで、効率の良いピロリ菌への攻撃が可能となっています。

また、ムチン自体の生産を増やす効能もあるため胃の粘膜を強化し、胃潰瘍や十二指腸潰瘍、胃癌を予防する効果が期待できるとのことです。

体内管理 生きる乳酸菌

「体内管理 生きる乳酸菌」とはスウェーデンの会社であるバイオガイアジャパンによる乳酸菌製品です。この製品に含まれる乳酸菌はL.ロイテリ菌(L.reuteri ATCC 55730)です。L.ロイテリ菌は虫歯や歯周病予防でよく知られている乳酸菌ですが、その他にも様々な効能があることが分かっつにピロリ菌の抑制効果があります。

L.ロイテリ菌によるピロリ菌抑制効果はかなり高いようですが、実験では除菌治療薬や胃酸の分泌を抑える効果がある消化性潰瘍薬との併用による効果が報告されているため、単体での使用は効果が見込めないかもしれません。

ピロリ菌除菌療法とヨーグルトを併用することで除菌効果が高まる

ピロリ菌を除菌する最も効果的な方法はピロリ菌除菌療法を行うことです。しかし、その成功率は100%ではなく、大体70~80%と言われています。

前段で紹介した、「ラクトバチルス・ガゼリ・OLL2716株」「SN13T」「B.ビフィダム.Y株」「L.ロイテリ菌」はいずれもピロリ菌除菌療法と併用することで除菌成功率が高まる結果がでています。

ですので、除菌療法を行う場合も上記の乳酸菌を含むヨーグルトを食べると良いでしょう。

また、ピロリ菌除菌療法は腹痛や頭痛、発熱や発疹などの副作用が出ることがあります。この場合も上記の乳酸菌を含むヨーグルトを食べることで副作用を軽減できると言われています。

胃潰瘍、十二指腸潰瘍を予防・改善し胃癌リスクを軽減するヨーグルトの食べ方

胃潰瘍などの原因となるピロリ菌を除去するためのヨーグルトの食べ方は特に決まっていません。ただし、ピロリ菌を除去するのは簡単ではないので、ある程度の量のヨーグルトを長期間食べる必要があるでしょう。

「明治プロビオヨーグルトLG21」の実験で効果が確認された報告によると、被験者は90gの「LG21」を1日2回、8週間食べ続けたとありますのでこれが一つの目安となるでしょう。

ただし、この実験ではピロリ菌を除去できたわけでなくピロリ菌の活動が抑制され、胃の炎症が改善した程度ですので、さらにピロリ菌を除去するにはもっと長期間継続して食べることが必要でしょう。

⇒ その他のヨーグルトの効果や効能を見る

最後まで読んで頂きありがとうございます

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