種菌(スターター)の作り方
ヨーグルト作りを追求していくと種菌(スターター)自体も自分で作りたくなってきます。種菌が自分で作れるようになるとハチミツやレーズンなどから種菌を作ることもできます。
ただし、自分でヨーグルトの種菌を作るのは結構難しいです。レシピや手順は簡単なのですが、発酵の状態を管理しなければいけないのが面倒です。
ただ単にヨーグルトを作れればよいという場合は、市販のヨーグルトを種菌にする方をオススメします。
それでも「種菌を作りたい」という方は、是非、これ以降をお読みください。
【目次】
種菌とは?
ヨーグルトを作る時には牛乳(もしくは豆乳)を発酵させるための乳酸菌が必要ですが、その最初に牛乳に入れる乳酸菌のことを種菌またはスターターと言います。
自家製のヨーグルトを作る時にも当然種菌が必要になりますが、乳酸菌単体を入手することは難しいので、一般的に以下の3種類のどれかを種菌として使います。
- 既存のヨーグルト・乳酸菌飲料
- 市販の種菌
- 手作り種菌
※種菌に関する詳細はこちら(手作りヨーグルトの種菌)をご覧ください。
手作り種菌とは?
前述した種菌の種類の内「既存のヨーグルト・乳酸菌飲料」「市販の種菌」は既成のものなのでそのまま使いますが、それとは別に種菌を自分で作ることができます。それが「手作り種菌」です。
種菌を作る手順やレシピは単純ですが、実際に作るのは意外に難しく失敗することも多々あります。それでも種菌を作る人がいるのは種菌を作るメリットがあるからです。その一方、当然デメリットもあります。
種菌を作るメリット
種菌を作るメリットは主に以下の4つです。
- 費用がかからない
- 自然食品が作れる
- 植物性乳酸菌入りの種菌が作れる
- オリジナルの種菌が作れる
1.費用がかからない
種菌を作る理由の多くは「費用がかからない」ことではないでしょうか。
実際には素材を買うお金は必要なのですが、小額な上、一度成功すれば繰り返し使えるので限りなく安く済みます。
2.自然食品が作れる
厳密には自然食品にはならないのですが、自家製の種菌を作る場合は添加物などを限りなく排除でき、乳酸菌も玄米など植物由来のものを使う場合が多いため、自然食品のように健康的な側面が強くあります。また、新鮮な感じもします。
3.植物性乳酸菌入りの種菌が作れる
市販のヨーグルトの殆どは動物性乳酸菌であるのに対し、種菌を手作りする殆どの場合は、玄米などの植物由来の乳酸菌を使います。
つまり種菌を手作りするということは植物性乳酸菌の種菌を作るということにつながります。植物性乳酸菌は動物性乳酸菌と比べて生命力が強く、効果性も高いと言われています。
4.オリジナルの乳酸菌が作れる
手作りの乳酸菌ですので、自由にレシピを変えられます。複数の乳酸菌を組み合わせたり、他の食品を混ぜて種菌を作ることもできます。
勿論、様々な知識と経験が必要ですので上級者向けです。よく知られているのが、玄米由来の乳酸菌にヨモギ由来の乳酸菌と黒糖を混ぜるやり方で、うまくいくと非常に強い乳酸菌の種菌ができると言われます。
種菌を作るデメリット
種菌を作るメリットがある一方、デメリットもあります。現時的にはデメリットの方が大きく手軽にヨーグルトを作りたい方は「既存のヨーグルト・乳酸菌飲料」か「市販の種菌」をオススメします。
種菌を作るデメリットは主に以下の3つです。
- 手間がかかる。
- 作るのが難しい。
- 衛生面の危険性がある
1.手間がかかる
慣れてくるとあまり気にならないのですが、種菌を作るのには手間と時間がかかります。特に時間は作り方にもよりますが全工程で1~3日はかかる上、都度状態の確認が必要ですので結構面倒です。
2.作るのが難しい
慣れた人には簡単なのですが、実際には失敗することも多く、種菌作りは難しいと感じる人の方が多いと思われます。
生きた乳酸菌が相手ですので、レシピ通り作ってもうまくいくとは限りません。環境や条件に大きく左右される上、個人では明確な成功の状態が確認しにくいため自分なりのコツをつかむ必要があります。
3.衛生面の危険性がある
種菌を作るデメリットで一番大きのは衛生面です。
手作りヨーグルト全般に言えることですが、雑菌(腐敗菌)が繁殖する危険性が常に付きまといます。
乳酸菌は発酵中は殺菌力が強いので危険性は少ないのですが、乳酸菌が弱ったり正常な発酵が行われない場合は腐敗菌が増殖して腐ります。
種菌を作る場合、衛生面には最大の注意が必要で、消毒を徹底するのは勿論のこと、匂いや味に少しでも変なところがあれば迷わず捨てる認識が必要です。
ヨーグルトの種菌の作り方・レシピ
ヨーグルトの種菌に関する前知識をご理解頂いたところで、具体的な種菌の作り方をご紹介します。
●その前に
こちらで紹介するヨーグルトの種菌の作り方はよく知られた方法で、実際に食中毒になった等の話しは殆ど聞きませんが、雑菌の混入・増殖による健康被害の危険性があります。消毒など衛生管理を徹底する上、味や匂いが変だと思ったら迷わず捨てて下さい。万一、ここでご紹介する作り方によって健康被害が起きた場合でも当サイトは一切の責任を負いませんので予めご了承ください。
ヨーグルトの種菌の作り方には主に次の2種類の方法があります。
- 乳酸菌液(リジュベラック)の種菌を作る
- 直接ヨーグルトとしての種菌を作る
どちらも乳酸菌が付着している食品から種菌を作ります。実は乳酸菌はどこにでもある細菌で様々な植物に付着しています。
ですので雑草に付着している乳酸菌から種菌を作ることもできますが、一般的に玄米もしくは発芽玄米が使われることが多いので、ここでも玄米を使った種菌の作り方を2種類の方法、それぞれご紹介します。
乳酸菌液(リジュベラック)の種菌の作り方
乳酸菌液とは水の中で乳酸菌を増殖させて作る液体のことです。別名、リジュベラックとも言われます。この乳酸菌液自体がヨーグルトの種菌となります。
乳酸菌液(リジュベラック)は液体であるため、管理が楽な上、原料乳と混ざりやすいなどヨーグルトの種菌として扱いやすいと言えます。
後述する別の方法よりも成功する確率が高く、多少手間が増えますが、どちらの方法に迷うばあいはこちらがオススメです。
また、玄米から作る乳酸菌液は栄養分に富み、さらに消化を促進する効果があると言われ、ヨーグルトの種菌以外にも料理の材料や野菜ジュースなどに使われることもあります。
作り方
今回は玄米を使って1Lの乳酸菌液(リジュベラック)を作ります。発芽玄米を使うこともできます。その場合は2.~5.の手順は必要ありません。
1.材料・用具を用意する
必要なものは次の通りです。
- 玄米・・・0.5合程度
分量は正確でなくて大丈夫です。無農薬のものが良いでしょう。 - 水・・・1L
市販品でも水道水でも構いません。 - ボウル
玄米を発芽させる時に使います。玄米の量に少しの余裕がでる容器であればなんでも構いません。 - ザル
玄米から水を切る時に使います。 - 容器
乳酸菌液を入れる容器です。1L強の水が入る容器が必要です。フタ付きのものが良いです。
2.用具を消毒する
用具に雑菌が付かないように消毒します。容器が対応しているようであれば熱湯消毒が良いです。
3.玄米を軽く洗う
洗う必要はないという意見もありますが、玄米が汚れていることがあるので軽く洗います。軽くで結構です。洗い過ぎないように気を付けましょう。
4.ボウルに玄米を入れる
玄米を発芽させるためにボウルに玄米を入れ、玄米が隠れる程度に水を入れます。浮いている玄米があるとカビる可能性があるので沈めて下さい。
※この水は材料で用意した水とは別物です。水道水で構いません。ただし、冷たい水はダメです。常温のものを使って下さい。
5.玄米を発芽させる
玄米が発芽するまでそのまま常温で水に浸けます。ホコリや雑菌が入らないようにフタやラップをかぶせます。
※夏場の暑い時期は涼しい場所か冷蔵庫に置きます。
腐敗菌が発生しないように12時間ぐらいを目安に水を変えます(この時、ザルで水を切ります)。※この時キツイ臭いがする場合は腐っている可能性がありますので、最初からやり直して下さい。
2~3日経つと玄米から小さな芽がでて発芽玄米になります。
※発芽すると全体的に白っぽくなり、米の少し凹んでいる部分が盛り上がって小さなツノのようなものが出ます。また、発芽を放置しているとどんどん成長してしまうのでマメにチェックしましょう。
6.容器に発芽玄米を入れる
容器に発芽玄米を入れて更に1Lの水を入れます。
7.そのまま水に浸ける
そのままフタをして常温で半日~1日程度置いておきます。
8.完成
暫くすると水が少し白く濁ってきて小さな泡が出てきます。この時点で乳酸菌液(リジュベラック)の完成です。
乳酸菌液をすぐ使わない場合は、発芽玄米を濾して乳酸菌液だけにしましょう。
この乳酸菌液がヨーグルト作りの種菌になります。
乳酸菌液(リジュベラック)をヨーグルトの種菌として使う場合
基本的なヨーグルトの作り方はこちら(詳細!ヨーグルトの作り方)を参照頂き、種菌の部分を乳酸菌液に置き換えてください。
その際、種菌として乳酸菌液を使う分量は、原料乳に対して乳酸菌液を4対1ぐらいの割合にします。
乳酸菌液(リジュベラック)の保存方法
作った乳酸菌液は冷蔵庫で保存します。基本的には24時間以内に使いきりましょう。人によっては4、5日は大丈夫という方もいます。
実際の保存期間は自己責任の判断でお願いしたいと思いますが、判断の目安になるのは臭いです。乳酸菌液が完成した直後は爽やかなフルーティーな感じの臭いがします。
しかし、腐敗してくるとなんとも言えない異臭がしてきます。変だと思った場合は少し味見をしてみて味もおかしかったらすぐ廃棄してください。
ヨーグルトとしての種菌の作リ方
やや分かりにくいタイトルかと思いますが、具体的には「乳酸菌が付着している植物から直接ヨーグルトを作り、それを種菌にする」という意味です。つまり種菌はヨーグルトということになり、この種菌の作り方はヨーグルトの作り方とも言えます。
これはTGGヨーグルト(豆乳グルグルヨーグルト)や玄米発酵ヨーグルトといった名前で知られるヨーグルトの種菌として近年、注目を浴びた方法です。
レシピは非常に単純ですが、管理が意外に大変で慣れないと失敗することも多く、作るのが難しく感じます。失敗は多くの場合、過発酵と言われる状態で、臭いも味も強烈になるのでトラウマになることもあるかと思います。
失敗の連続で諦める人も多いと思いますが、コツを掴むと不思議と楽しくなり玄米以外の食品で挑戦したり、発酵そのものに興味が湧いてくるようになります。
作り方
今回は玄米を使ってヨーグルトの種菌を作ります。乳酸菌液の時と同様、発芽玄米でも作ることができます。
また、原料乳は玄米発酵ヨーグルトにならって豆乳を使います。
1.材料・用具を用意する
必要なものは次の通りです。
- 玄米・・・少量(スプーン一杯分程度)
発芽玄米でも結構です。 - 豆乳・・・200ml程度
無調整豆乳が良いです。 - 容器
フタ付きで300mlぐらいの容量が適当です。 - スプーン
2.用具を消毒する
容器とスプーンに雑菌が付かないように消毒します。熱湯消毒が良いです。
3.玄米を軽く洗う
洗う必要はないという意見もありますが、玄米が汚れていることがあるので軽く洗います。軽くで結構です。洗い過ぎないように気を付けましょう。
4.玄米を容器に入れる
スプーン一杯程度の玄米を容器に入れます。少量で結構です。多すぎると過発酵になりやすくなります。
5.豆乳を入れる
容器に50ml程度の豆乳を静かに入れます。玄米が完全に隠れるようにしてください。また、入れる豆乳は冷蔵庫から出した直後の牛乳ではなく、常温程度まで温めてください。
6.暫く置いておく
容器のフタをして常温で暫く置いておきます。
暫くすると乳酸菌の発酵が始まります。全体がトロリとしてくるまで暫く発酵させます。通常2~3日でトロリとしてきますが、暖かい季節は1日でトロリとしてくる場合もあります。
※この時点で過発酵になることがあるのでマメに確認する必要があります。
※振動を与えると分離しやすくなるので、置いておく時や確認する時は激しく動かさないようにしましょう。
7.豆乳を付け足す
トロリとしてきたら、更に常温の豆乳を倍ぐらい(50ml程度)付け足します。
※玄米が沈んだままになるようにゆっくり付け足してください。決してかき混ぜないでください。
8.暫く置いておく
6.の工程と同様に容器のフタをして常温で暫く置いておきます。傾けても動かなくなる直前ぐらいまで発酵させます。この段階では発酵のスピードが早くなっているので、6~半日程度で固まってきます。
※この時点でも過発酵になることがあるのでマメに確認する必要があります。
9.更に豆乳を付け足す
更に倍(100mlぐらい)の豆乳を付け足します。前回同様、常温の豆乳をかき混ぜずに静かに入れて下さい。
10.暫く置いておく
前回同様、容器のフタをして常温で暫く置いておきます。表面が固まってきたら発酵完了です。更に発酵のスピードが早くなっているので5~8時間程度で固まります。
11.完成
表面が固まってきたら冷蔵庫に入れて1~2時間置きます。全体がキレイに固まっていて変な臭いもしなければ種菌の完成です!
これはヨーグルトを作る時の種菌として使いますが、ヨーグルトでもありますので、当然食べられます。
※変な色や味、臭いがする場合は腐敗している可能性があるので迷わず捨ててやり直しましょう。
ヨーグルトの種菌として使う場合
基本的なヨーグルトの作り方はこちら(詳細!ヨーグルトの作り方)を参照頂き、種菌の部分をこのヨーグルトに置き換えてください。
この方法の注意点
この方法はすぐ過発酵してしまい、うまくいかない場合が多いかと思います。
過発酵になると固体と液体が分離した状態になります。過発酵させないポイントとしては、少量ずつ作ること、そしてマメに発酵状態を確認することです。
過発酵しても変な臭いがしないようであれば腐敗しているわけではなく、液体部分は種菌として使えると言われます。しかし、過発酵によって乳酸菌が弱り、実際に腐敗している場合もあります。
この見分け方は慣れていないと分からないので、自分で判断出来ない時は廃棄して作り直しましょう。
また、失敗例としては変な臭いや味がしたり、表面が赤みを帯びることがあります。このような場合は雑菌が繁殖している可能性があるので迷わず捨てて下さい。
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