便秘解消・便秘予防
便秘解消や便秘予防のためにヨーグルトを食べる方は多いのではないでしょうか。
今や女性の二人に一人は便秘傾向とも言われ、便秘で悩んでいる人は大変多くいます。
便秘解消に関する情報も溢れていますが、そういった中で便秘に効く食べ物として必ず登場してくるのがヨーグルトです。
事実、厚生労働省においても便秘解消においてヨーグルトを薦めていますし、便秘解消におけるヨーグルトの効果性も数々の研究で報告されています。
しかし、その一方、効果が感じられないという人も少なくありません。
これはどういうことでしょうか?
それはヨーグルトはただ食べれば便秘を解消できる食べ物ではないからです。
ヨーグルトで便秘を解消するには、ちょっとしたコツが必要です。そのコツを知るにはヨーグルトの食べ方とある程度の便秘の知識が必要です。
ここは、それらをご紹介ページになります。興味のある方は少々長いですが是非最後までお読みください。
目次
便秘とは?
便秘とは誰もが知っているように「ウンチがでない」ことですが、1~2日程度ウンチが出なくても便秘とは限りません。体質や生活習慣にもよるのですが、3日間排便できていないようだと便秘が疑われます。
便秘の原因
便秘の原因を知ることは重要です。
「ヨーグルトを食べても便秘が解消されない」という方は便秘の原因を理解していないということが多々あります。
便秘の原因には直接的なものと間接的なものがあります。例えば、代表的な便秘の直接原因として「腸機能の低下」がありますが、この間接的な原因には加齢や生活習慣、食習慣、病気などがあります。
便秘を根本から治す場合は間接的な原因の解消が必要です。しかしながらヨーグルトで便秘を解消させる場合は基本的に直接原因の対処になりますので、ここでは直接原因を中心に話しを進めます。
便秘の直接原因には主に次のようなものがあります。
- 腸の機能低下
- 便意の消失
- 水分不足
- 食物繊維不足
- 自律神経の乱れ
- 腹筋など筋力の低下
- 病気
- etc.
これらのどれか一つでもあてはまるものがあれば便秘になる可能性があります。
多くの場合、これらは単体ではなく複合的に合わさって便秘の原因となっています。
この内、ヨーグルトで解消できる便秘の直接原因は「腸の機能低下」のみです。
このことをしっかり認識しておく必要があります。
便秘の種類
便秘の原因が理解できれていれば、便秘の種類を知ることはあまり重要ではありません。しかし、便秘の種類を知ることは説明上便利なので簡単にご紹介します。
便秘には大きく「病気による便秘」と「生活習慣による便秘」、そして「精神的要因による一時的な便秘」の3つの種類に分かれ、それぞれ次のような名前が付けられています。
- 一過性単純便秘
精神的要因による一時的な便秘 - 症候性便秘
病気による便秘 - 常習性便秘
生活習慣による便秘
さらに、常習性便秘は症状によって更に3つの種類に分かれます。
- 弛緩性便秘
腸機能の低下により、蠕動運動(便を押し出す力)が弱くなって便が排出できなくなる便秘。もっとも一般的と言える便秘。 - けいれん性便秘
ストレスなど精神的要因により腸が敏感になることで蠕動運動が頻繁に起き、十分な便量が無いまま排便しようとする便秘。一過性単純便秘との違いは慢性化すること。 - 直腸性便秘
通常、直腸に便が運ばれてくると便意をもよおしますが、その便意を感じなくなってしまう便秘。
これら3つの常習性便秘は多かれ少なかれ腸機能の低下と関係があります。つまり、ヨーグルトはこの3つの便秘全てに効果的と言えます。
その中でもっともヨーグルトが効果を発揮するのが腸機能の低下が主原因となる「弛緩性便秘」です。弛緩性便秘は便秘の代表格でもあるため、ヨーグルトが便秘に効くと言われるのはそういった背景もあります。
ヨーグルトが便秘を予防・解消する仕組み
ヨーグルトが便秘を予防・解消する仕組みは次の2点に集約されます。
- 腸内環境の改善
- 蠕動運動の促進
1.腸内環境の改善
ヨーグルトには便秘の要因となる乱れた腸内環境を改善する効果があります。
腸内環境とは主に腸内に住みついている腸内細菌のバランスのことを指します。
腸内細菌には善玉菌と悪玉菌(それと日和見菌)があり、善玉菌は腸の働きである消化・吸収に大きな役割を果たしています。
一方、悪玉菌は善玉菌の働きを妨げるだけでなく、有害物質を産出して腸機能を低下させます。
人によって腸内細菌の総量は決まっていて、通常は善玉菌が多く、悪玉菌が少ない状態となっています。
しかし、便秘の間接的原因でもある加齢や食事内容、生活習慣、さらには精神的要因などによって悪玉菌が増えると善玉菌が減り、腸内環境が乱れます。
腸内環境が乱れると消化・吸収が十分にできないため不要物が溜まり、さらに悪玉菌によって有害物質が産出され、腸機能が低下し、そして便秘となるのです。
乱れた腸内環境を改善するヨーグルト
ヨーグルトには乳酸菌という善玉菌の一種が大量に含まれています。
この乳酸菌をヨーグルトとして外部から摂り入れることで、腸内の善玉菌を増やし、悪玉菌を減らすことができます。そうすると腸内環境は改善され、腸機能が正常に戻り、便秘が解消されるのです。
これがヨーグルトが腸内環境を改善し、便秘を解消する仕組みです。
2.蠕動運動の促進
蠕動運動とは食べた物を胃や腸に運んでいき、最終的には便として排出させる消化器官のベルトコンベアーのようなものです。
大腸内における蠕動運動がうまく機能しないと、便が大腸内に留まり、水分が必要以上に吸収され、詰まったような状態になります。
つまり蠕動運動がうまく機能しないと便秘になるのです。蠕動運動の不調は弛緩性便秘の代表的な原因です。
蠕動運動が不調になる主な原因として腸内環境の乱れがあります。また、加齢やストレスなどによる自律神経の失調、妊娠や月経などによるホルモンバランスの乱れなども原因となります。
蠕動運動の不調を改善するヨーグルト
ヨーグルトには不調になった蠕動運動を活発にさせる二つの要素があります。
一つは前述した「腸内環境の改善」です。
腸内環境を乱す悪玉菌は有害物質を産出することで、腸にダメージを与え、その結果、蠕動運動がうまく機能しなくなります。
先程ご紹介したようにヨーグルトには腸内環境を改善する効果がありますから、それと同時に蠕動運動の不調も回復させます。
二つ目は「ヨーグルトに含まれる乳酸菌」です。
乳酸菌が産出する乳酸や酢酸は腸を刺激し、蠕動運動を活発にする働きがあります。この働きは腸がある程度弱っていても効果を発揮するため即効性が期待できます。
このようにヨーグルトは腸を刺激して対処的に蠕動運動を活発にする一方、腸内環境を改善して根本的に蠕動運動の働きを正常化します。
こうしてヨーグルトは便秘の最大の要因とも言える蠕動運動の不調を改善し便秘解消を促進するのです。
その他のヨーグルトにおける便秘解消効果
「腸内環境の改善」「蠕動運動の促進」以外にもヨーグルトが便秘解消に役立つ点があります。
それはヨーグルトに豊富に含まれているカルシウムです。
便秘の原因の一つにストレスなど精神的要因があります。一時的には「一過性単純便秘」、慢性的には「けいれん性便秘」といった便秘の要因となる他、悪玉菌を増殖させ、腸機能を低下させる要因にもなるので、全ての便秘に関係すると言えます。
カルシウムは天然の精神安定剤とも言われ、ストレスや精神疾患を和らげる効能があります。そういった意味でもヨーグルトは便秘解消に役立つのです。
便秘解消のための効果的なヨーグルトの食べ方
これまでのご説明でヨーグルトが便秘に効果的というのはご理解頂けたかと思いますが、実は食べ方を間違えるとなかなか効果を感じることはできません。
ヨーグルトで便秘を解消するには、「最低限必要なこと」、そして「より効果的に便秘を解消する食べ方」を知っておくことが重要です。
ヨーグルトで便秘を解消するために最低限必要なこと
ヨーグルトで便秘を解消するには以下の点に留意する必要があります。
1日200g以上食べる
悪玉菌が優勢になっている腸内環境をヨーグルトを食べて改善するにはある程度の量が必要です。
その量とは、単純に乳酸菌を投入して悪玉菌を劣勢にさせるだけなので、量が多い方が良いのですが、1日200g程度が目安と言われています。
1日の総量ですので、朝晩100gや67gずつ朝昼晩と3回に分けても構いません。
2週間以上食べる
ヨーグルトに含まれる乳酸菌は体外に排出されてしまうので半日~2日間程度しか効果がありません。
つまり、短期間では悪玉菌を劣勢にさせることはできません。
便秘を解消させるために腸内環境を改善するにはある程度継続することが必要で、その目安は最低2週間と言われます。
色々な種類のヨーグルトを食べて自分合ったものを見つける
腸内細菌の構成は人によって違うため、人によって乳酸菌の種類との相性があります。合わない乳酸菌を含むヨーグルトを食べた場合、効果が薄くなります。
一方、ヨーグルトに含まれる乳酸菌にもいくつかの種類があるので、初めは色々なヨーグルトを試してみて自分に合う乳酸菌を見つけましょう。
食物繊維をきちんと摂る
ダイエット中に便秘になり、その便秘を解消しようとしてヨーグルトだけを食べる人がいますが、基本的にヨーグルトだけでは便秘は解消しません。
ヨーグルトはあくまで腸内環境を改善し、蠕動運動を活発にすることで排便を促進しますが、肝心の”便”が無ければウンチは出ません。
便のメイン材料は食物繊維です。ですので、食物繊維を摂らないと便は出ません。
スッキリ便秘解消するにはヨーグルトと一緒にしっかり食物繊維を摂る必要があります。
より効果的に便秘を解消するヨーグルトの食べ方
必須ではありませんが、以下の点に気をつけるとヨーグルトの便秘解消効果が増します。
腸まで生きて届く乳酸菌が入ったヨーグルトを選ぶ
実は多くのヨーグルトに含まれている乳酸菌は死んでいます。もしくは生きていても殆どの乳酸菌は腸まで届かず、胃酸や胆汁酸で死滅してしまいます。
死んでしまった乳酸菌でも善玉菌の栄養分となるため、善玉菌を増殖させ便秘を解消させる効果はあります。
しかし、やはり生きた乳酸菌が腸まで届いた方が確実に善玉菌は増えますし、腸も刺激されますので便秘解消の効果が高まります。
最近ではプロバイオティクスという「腸まで生きて届く乳酸菌」が入ったヨーグルトがいくつか販売されています。もしくは、豆乳ヨーグルトに入っている植物性乳酸菌も「腸まで生きて届く乳酸菌」と言われます。
より効率的に便秘を解消したい場合は「腸まで生きて届く乳酸菌」が入ったヨーグルトを食べましょう。
特定保健用食品のヨーグルトを選ぶ
特定保健用食品とはその食品の効能が国(消費者庁)に認められている食品のことです。
特定保健用食品は科学的なデータを元に認可が与えられるので、その効能の信頼性が高いことを表します。
市販のヨーグルト製品にも腸への効能を認めた特定保健用食品が多くあります。つまり、特定保健用食品の認可を持つヨーグルトはより便秘解消効果が高いということです。
これらの製品はパッケージにトクホマークというマークがあるのですぐ分かります。
前段の通り、「腸まで生きて届く乳酸菌」を含み、トクホマークがついているものがもっとも効果が期待できるヨーグルトと言えます。
オリゴ糖と一緒に食べる
オリゴ糖とは乳酸菌の一種であるビフィズス菌の栄養となり、ビフィズス菌を増殖させる成分です。
オリゴ糖単体でも善玉菌を増やすことはできますが、オリゴ糖は甘味料でもあるためヨーグルトとよく合います。
ヨーグルトにオリゴ糖をかけて食べれば便秘解消効果が増すだけでなく、ヨーグルトを美味しく食べれるのでお薦めです。
食後に食べる
ヨーグルトは食後に食べた方が効果が増すと言われます。食後は胃液や胆汁酸の濃度が薄くなるためヨーグルトに含まれる乳酸菌の生存率が高くなるからと考えられているからです。
更に既述の通り、乳酸菌は腸を刺激して蠕動運動を活発にするので、食後にヨーグルトを食べることで消化活動を促進し、排便しやすくします。
ヨーグルトで便秘解消・予防をする際の注意点
便秘解消や便秘予防に効果的とされるヨーグルトですが、次のような注意点があります。
ヨーグルトだけでは便秘解消はできない
前述していますが、ヨーグルトの効果とはあくまで腸内を改善し、蠕動運動を活発にすることで排便しやすい「環境」を作るところにあります。
ヨーグルト自体は便になりませんので、ヨーグルトだけを食べても便は出ません。ウンチをしてスッキリ便秘を解消したい場合は、ヨーグルトと共にしっかり食物繊維を摂る必要があります。
太りやすくなる
ヨーグルトは比較的カロリーや脂質の高い食品です。しかも既述した通り、便秘解消のためにはかなりの量のヨーグルトを食べなければいけません。
つまり、太る可能性が高くなります。
ですので、ダイエット中など太りたくない人は運動をしっかりする必要があります。運動することは便秘解消にも大変役立ちますので、是非、ヨーグルト食べて運動しましょう。特に腹筋を鍛えることは便秘解消にとても効果的です。
また、豆乳ヨーグルトを選ぶことも太るのを防ぐ効果的な手段です。
豆乳ヨーグルトは牛乳のヨーグルトに比べカロリーや脂質が低く、また豆乳ヨーグルトに含まれる大豆イソフラボンは脂肪燃焼効果もあるので太りにくい体を作るのにも役立ちます。
お腹を壊すことがある
牛乳を飲んでお腹を壊す人がいますが、ヨーグルトでも同じことが言えます。
牛乳には乳糖という成分が含まれていて、乳糖を分解できず消化不良を起こすことがお腹を壊す原因になります。
ヨーグルトの場合、乳糖がある程度分解されているので、牛乳よりはお腹を壊しにくくなっていますが、それでも乳糖が残っているためお腹を壊す可能性はあります。
ヨーグルトを食べて「ウンチが出た!」と喜んだところが、実はお腹を壊しただけだったということがあります。そのような場合は腹痛を伴いますので何となく分かるはずです。
牛乳を飲んでお腹を壊す人は、豆乳ヨーグルトを選びましょう。
豆乳ヨーグルトには乳糖が含まれていませんので、お腹を壊す心配がありません。
【結論】便秘解消にお薦めのヨーグルト
ヨーグルトは便秘解消に効果的な食品であることは間違いありません。
しかし、カロリーや脂質が高かったり、お腹を壊すなどマイナス点があるのも確かです。
そこで、色々調べてみると豆乳ヨーグルトがもっとも便秘解消に適しているヨーグルトであることが分かります。
豆乳ヨーグルトの特徴は以下の通りです。
- 乳糖が含まれていない(お腹を壊す心配がない)。
- カロリーや脂質が低い。
- 腸まで生きて届く乳酸菌が含まれている。
- 大豆オリゴ糖というオリゴ糖が含まれている(ビフィズス菌が増える)。
- etc.
豆乳ヨーグルトは牛乳のヨーグルトのマイナス点がある程度カバーされている上、より効果的に便秘を解消する要素も含まれているのです。
あくまで個人的な見解ですが、便秘解消においてもっともお薦めできるヨーグルトは豆乳ヨーグルトになります。
豆乳ヨーグルトに関してはこちら(豆乳ヨーグルト)で詳しく説明していますので参照ください。
市販の豆乳ヨーグルトは若干値段が高いので、自分で作る方法もあります。手作りの豆乳ヨーグルトは市販のものと比べて乳酸菌が元気で、しかも量も多いとより便秘解消に効果的とも言われています。
手作りヨーグルトに関してはこちら(豆乳グルグルヨーグルト)とこちら(玄米発酵ヨーグルト)でご紹介しているので興味があれば参照ください。
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